血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

免疫グロブリン製剤

免疫〔めんえき〕の発見から利用へ

私たちは、常に細菌やウイルスなどの様々な病原体にさらされています。このような病原体に感染すると色々な病状が現れます。しかし、実際には健康に生活している人が大部分です。これは私たちの体に、病原体から身を守る働き(免疫能)が備わっているからです。

「免疫」とは、かつて、一度伝染病〔でんせんびょう〕にかかると同じ伝染(疫)病から免れる「二度なし現象」を指していました。

この「二度なし現象」をもとに、18世紀末、E.ジェンナーは種痘〔しゅとう〕の予防接種に成功しました。これが人類にとって最初のワクチンとなりました。更に19世紀末に、L.パスツールは狂犬病など感染症のワクチンによる予防法を確立しました。

また1890年、E.V.ベーリングと北里柴三郎は、ジフテリア菌や破傷風〔はしょうふう〕菌の毒素〔どくそ〕を投与した動物の血清〔けっせい〕中に毒素を無毒化する「抗毒素〔こうどくそ〕」(抗体=免疫グロブリン)があることを発見しました。そして、これを血清療法〔けっせいりょうほう〕(=抗体療法)へ応用しました。

現在では、細菌やウイルス等の感染症を予防や治療する目的で、人の血液から取り出された抗体(免疫グロブリン)が医薬品として使用されています。

血清療法:病原体やその毒素に対する抗体を含む血清を用いる病気の治療や予防法のことをいいます。

<大阪府立成人病センター顧問 正岡 徹先生(2008年5月監修)>

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