血漿分画製剤のいろいろ

血液製剤・血漿分画製剤・血液製剤が必要となる病気の種類などを学ぶことができます。

血漿分画製剤のいろいろ

アンチトロンビン製剤

抗凝固薬の種類と特徴

血栓症を防ぐための抗凝固薬にはいくつかの種類があります。物質面からは、アンチトロンビンのようなタンパク質、ヘパリンのような豚の腸の粘膜から抽出された多糖体、ワルファリンのような合成有機物質があります。

アンチトロンビンⅢ製剤が使用される疾患は表にある2種類の病態で、共通点としてはアンチトロンビンが低下した場合に生じる血栓症の治療用であることです。

【凝固を制御する血漿タンパク製剤の特徴】

表には、凝固を制御する3種類の製剤の比較を示しています。

アンチトロンビン以外に、活性化プロテインC、トロンボモジュリンがあります。アンチトロンビンが最も古い製剤で、トロンボモジュリンが最も新しく開発された製剤です(2008年承認)。前二者が人の血漿から作られるのに対して、トロンボモジュリンは遺伝子組換え技術により作られています。アンチトロンビンが凝固反応中の活性化したトロンビン、活性化第Ⅹ因子などを中和して、その働きを抑制するのに対し、活性化プロテインCやトロンボモジュリンは共同して、活性化第Ⅷ因子、活性化第Ⅴ因子を分解します。また、アンチトロンビンや活性化プロテインCは、それらのタンパク質が体内で減少している時、正常に戻す目的で補充療法的に使用されます。

<新潟県立加茂病院名誉院長 高橋 芳右先生(2009年11月監修)>

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